IVS異体字とは

東京都葛飾区の「カツ」と奈良県葛城市の「カツ」という字を下図のように厳密に区別したい時に使用します。 IVS異体字は「カツ」の後ろに字形を指定する見えない文字を入力して、Unicode結合文字列とすることで字形を指定します。

葛城市葛飾区

字形は閲覧者のPCによって変わる

「カツ」という字はWindows XPまでは葛城市の「カツ」が表示されていましたが、Windows Vistaからは葛飾区の「カツ」が表示されるようになっています。 そのため、同じ文書を閲覧したとしてもどちらの「カツ」が表示されるかは閲覧者のPCによって変わってきます。 これは日本の要請でWindowsが文字の規格をJIS90からJIS2004に更新したために発生しています。 (葛城市はパソコンからの入力を考慮して、「カツ」を選んだそうですが、Vistaから入力できなくなってしまいました。。。) このような状況でも通常は問題ないのですが、裁判所へ提出する書類等では問題になるそうです。

字形を厳密に指定する方法

文字の字形を厳密に指定する方法として「外字」「IVS異体字」という2つの方法があり、次のような違いがあります。 (IVS異体字と外字比較

  • 外字は各自で任意の字形を定義するため、どのような字形にも対応できます。
  • IVS異体字は標準化されたIVS異体字のリストに従って、フォントファイルにあらかじめ字形が入っています。

IVS異体字は外字作成のコストが不要であり、検索性も高く、各自が作成した外字を配付する必要がないため不特定多数の人も表示できるメリットがあります。 ただし、標準化されたIVS異体字のリストにない字形は表示できません。 そのため、IVS異体字の普及が進むと基本的にIVS異体字を使用し、IVS異体字のない特別な字形のみ外字とする流れになっていくと思われます。

IVS異体字のデメリット

外字に比べてメリットの多いIVS異体字ですが、2012年ごろから使用され始めた機能であり、 2013年現在は混乱した状態になっています。(詳細はIVS異体字の現状と今後) PDFファイルでIVS異体字や外字を使用する場合、IVS異体字の混乱や外字のデメリットを回避することができます。

PDFファイルでIVS異体字、外字を使うことの利点

PDFファイルはOSに依存せず、どの環境でも文書を同じように表示することができるという特徴があります。 これはフォントファイルをPDFファイル内に取り込み、Adobe Readerで独自に処理して文字を表示することで実現しています。 これにより閲覧者の環境がIVS異体字に対応しているか、執筆者の用意した外字ファイルを持っているかということを気にする必要がなくなります。

IVS異体字を含むPDFファイル
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